《MUMEI》

「ん…」

彼女の視線が僕の空いたカップに行った。

「あ、僕…片付けるです…いい、好きです」

この好きは片付けるのが”好き”って意味だ。

さくらの事も、もちろん”好き”だけどね。



彼女の空いたカップもキッチンに持って行くと、そこのカップに植えてあった長い緑の葉のハーブに目が行った。

「コレは何ですか?」
「あぁ、ネギだよ」
「ネギだよ?」
「そう…」

この”ネギダヨ”の香りを嗅いでみると、ツンと刺激のある臭いがした。

「うっ!」

でも刺激臭の中にも美味しそうな匂い、コレは何かの料理に使うんじゃないかな…キッチンにあるんだし。

そう思って冷蔵庫を開けると、自分の故郷でも見た事がある野菜などがあった。

「あ…さくらさん、僕作る…トゥディのディナー…いいです?」
「あ、うん…私仕事やっちゃうからお願いね」

そう言うとさくらはデスクの上にあった書類をドサっと床に置いてお仕事を始めていた。


「オーケイ!」

僕はさっそく冷蔵庫から色々と取り出して、それで出来るものを頑張って作ってみた。




「出来たの?」
「ヤ!(うん!)ヴィナーシュニッツェル、それと、カァトッフェルクネーデル、それと、ズッペンです」
「ズッペン?…あぁドイツの料理…スープね」

さくらの冷蔵庫にあったポークにパン粉を付けて揚げたものと、カァトッフェル(じゃがいも)を練ってお団子にしたもの、それに付け合わせでズッペン(スープ)を作ってみた。

「色々、変えてコレ、ポーク違う、ヴィナーシュニッツェルは子供のラム使うです」
「あぁ?そうやって子供を食い物にしてる文化が嫌いなんだよね」
「子供?違うιエス ギブトゥ イン キュールシュランク(冷蔵庫の中にある)ポーク〜です」

さくらは子牛とか子羊の料理が嫌いみたいだ。

それにウサギや鳩とかの可愛い動物を食べる文化が理解できないと言っていた。

それは何でも食べるフランスだよ〜。

ドイツはジャガイモとキャベツとブルスト(ソーセージ)の今は平和な国だよ〜。

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