《MUMEI》

「自分から‥?」

「──もっと‥早くこうするべきでした‥」

「皆様にはご挨拶してきたんですか?」

「‥ぃぇ、ですが‥‥‥手紙を‥置いてきました。‥神山さんは‥花禀様に会いに‥行かれるんですか‥?」

「はい、レッスンの日ですから」

「‥‥‥あの‥」

「何か?」

「‥‥‥花禀様を‥宜しくお願いします‥」

「どうしたんです? 急に」

「花禀様──‥神山さんの事を‥本当にお好きみたいですから‥。この前、連弾の時も──花禀様‥とても楽しんでらっしゃいましたし‥」

「──いいんですか?」

「‥ぇ」

「まぁ、当然ですけどね。残念ではありますが──」

「‥‥‥‥では、失礼シマス」

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