《MUMEI》

‥神山さんと別れてから、僕は町中をぶらぶらと歩いていた。





「ほら、手ぇ放すなって」

「え〜? ちょっとやだぁ〜」





睦まじげなカップルが、通り過ぎて行った。





クリスマスの頃は‥もっと賑やかだったな‥。




──花禀様‥あのマフラー使って下さるだろうか。




オーブンに置いて来たアップルパイ──召し上がって下さるだろうか。





「──────‥」





不安だ‥。





「‥ぅわッ‥」





滑った‥。





「──はぁ‥」





‥これからどうしよう。

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