《MUMEI》 「──私は気にするなと言っているんだがな‥‥‥こいつは‥」 「だっておかしいのだっ」 「‥‥‥‥‥‥‥」 「私だけ黒いなんておかしいのだっ‥‥‥私も‥白くなりたいのだ‥」 「ぁ‥‥‥妖月、ほらっ──」 紫苑が干し桃を差し出すが、妖月は俯いたまま啜り泣いている。 (妖月が泣いたの‥初めて見た‥) 紫苑は困ってしまい、縋るように桜を見る。 すると。 「──妖月」 桜が、妖月の側に寄り‥優しく声をかけた。 前へ |次へ |
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