《MUMEI》 津田志貴視点待ち合わせ場所の明皇高校校門前に祐也が来ないので、私はすぐに拓磨に探すよう指示を出した。 待ち合わせ時間十分前から『祐也が来ない』と落ち着きが無かった柊は、時間になると同時に携帯片手にダッシュして行った。 (希を忘れなかっただけよしとするか) 携帯を持つ手と逆の手で、柊は希を掴んでいた。 ここで待ち合わせしている人間はかなり多く、私は顔見知りの人間に、祐也を探すよう指示し、自分は校門前で待機していた。 数分後。 (…おばあちゃん?) 祐也が見つかったというメールを待っていた私は首を傾げながら、母方の祖母からのメールを開いた。 『今日は頼の婚約パーティーもやっちゃいます! 祐也君は頼とエイミーちゃんの希望で二人と一緒に二人の親の出迎えに 空港行く事に 今朝決まったよ! 今多分新幹線の中だから! と、いうわけで今日は私と両方の母親以外は女人禁制! 以上』 「…何、これ」 相変わらず超マイペースで私以上に女王様なおばあちゃんのメールに 私は、呆然とするほかなかった。 このふざけたメールが真実だというのは、戻ってきた柊の証言で決定的になった。 前へ |次へ |
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