《MUMEI》

「──おはよう、篠河君」

「おはよう」

「ぉ‥おはようございますっ」

「──篠河ぁ、マフィンもう1個」

「はいっ‥」

「──あら、花禀もう食べてたの?」

「お嬢様──安心されて食欲出たみたいですよ──」

「そういえば花禀──昨日は紅茶もマフィンも‥」

「ずっと心配してたものね──」

「でもアップルパイは召し上がってらっしゃいましたよね、篠河君が作って置いてってくれてた──」

「ふふっ──でも、足りなかったみたいよね」

「──そうですね──」

「──篠河っ、足りないもう1個っ」

「済みません、少々お待ち下さい、今‥作りますので‥」

「もうなくなっちゃったの?」

「すぐ作りますっ、すぐ‥」

「もぉ‥」





膨れっ面の花禀様。





可愛い──。





「‥何にやけてんのよ」

「いえっ、にやけてないです‥」

「にやけてるじゃない」

「違いますって‥」

「──ふふっ」

「‥ぇ‥」

「ほんとバカ──」

「ありがとうございます」

「‥‥‥何でお礼言うのよ」

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