《MUMEI》

「それともう一つ。」


倉木さんは急に真剣な表情になると、リフティングをする足を止めた。


「賢史はこれからもずっとサッカーを続ける気かい?」


「え?

そりゃあ、はい。」


「そうか。」


倉木さんは笑顔でこちらを向いた。


「何があっても、くじけるなよ。」


「え、あ、はいっ!」


嬉しかった。


純粋に先輩としてのアドバイスとして受け取った。


でもまさか・・・・。


あの倉木さんの笑顔が作り笑いだったなんて。


当時の俺は、余りにも無知だった。


それは残酷すぎた。


今だって理解できない。

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