《MUMEI》

「ええと──‥」





嬉しいから‥ですかね‥。





「あ〜もぉいいか早くマフィン」

「はいっ」





キッチンに向かいながら、思った。





──僕を嫌いでもいい。





──ただ、笑っていて下されば。





「──よしっ」





花禀様の為にマフィンをお作りしなくては──。





「──良かった」

「森下さん?」

「帰って来てくれて」

「お嬢様方が捜しに来て下さったお陰です」

「改めて思ったわ──美芳家には篠河君が必要なんだ、って」

「本当に‥?」

「何よりお嬢様が──一番そう思ってらっしゃるはずよ」

「──篠河ぁ!」

「ぁ‥済みませんっ」





──今日も忙しくなりそうです。

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