《MUMEI》 「ち、違うよ! ただ気になって・・・。」 「それを一目惚れって言うの!」 「だーかーらー、違うんだってば! ずっと同じ場所に立ってるんだよ? おかしいと思わない?」 ゆかりは卵焼きを啄みながら言う。 「しかももう、一ヶ月も経つんだよ? 普通気になるでしょ。」 「んー、確かにそうだけど。」 「ね? だから私、どうにかしたくてさぁ。 智香ならどうする?」 「まったく、このお人よし!」 智香はゆかりの弁当箱に入っている、ウィンナーを口に放り込んだ。 「ああっ! 私のウィンナーが!」 「これで安くついたと思いなさいよね。」 智香は不適な微笑みを浮かべると、ゆかりを箸で指した。 「とにかく、その緑川総合病院ってとこに行ってみよう。」 前へ |次へ |
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