《MUMEI》
はじまりの、はじまり。
ミーンミーンミンミンジーッ‥

うだるような暑さの中、
熱気でむせかえる教室で、
延々と続けられる課外。


教師の声が、雑音の音のように流れていく。


夏休み初日だが、受験生である僕らには、全く関係ない。


(あ、暑い‥。早く終われ、あとちょっと‥)


僕は北沢 浩介(きたざわこうすけ)。
西平山高校三年二組、
17歳。もうすぐ18歳。
普通の男子高校生、とりえは‥えっと‥
学年一位の科学、かな?
それ以外は下から数えた方が早い。

直したいところは、最近よく言われる、草食動物みたいなところと、この優柔不断なところ。
かわいいとよく言われるが、それこそ悩みだ。


3階から窓の外を見れば、真夏を意識させる青空が、どこまでも広がっている。


(あ、あの子‥)

ふと下を見ると、1人の少女が走ってきた。

黒髪のショートをなびかせ、真っ直ぐにこちらと向かっている。

(み、宮島さんだ‥)

最近気になって、よく視界に入ってしまう。

木の下の日影に入ると、
暑そうに手でパタパタ?いや、バタバタと扇いでいる。


(誰かと、待ち合わせかな‥?)


なぜかわからないが、その少女を見ていると、懐かしさが込み上げる。知り合いではないし、最近転校してきたばかりらしい。


「――っ!」

ふと宮島さんが顔をあげ、視線が合った。

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