《MUMEI》 花が終わる頃。 二人は、久し振りに市へと赴いていた。 「──ゎ──」 紫苑は、花や香に見入っている。 桜は、それらの物には興味がないらしく‥ぶらぶらと辺りを歩き回っている。 (あいつ──本当は女子なのではないか‥?) 違和感がない。 (これで元の姿だったら‥さぞ皆驚くだろうな‥) 「ねぇっ、これどう?」 (‥何故私に訊く‥?) どうやら今、紫苑は自分が女子の姿である事を完全に忘れてしまっているらしい。 前へ |次へ |
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