《MUMEI》

「ねぇ、あんたあいつの事知りたい?」





ぇ‥。





あいつ、って‥僕の事ですか‥?





「私、執事がいるんだけどね? すっごいドジなの。毎日花瓶割るのよ? 紅茶の種類は間違えるし、お菓子作り以外は全然ダメ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「でもね、あいつがいないと駄目みたい」

「‥ぇ」




‥!!





今の声‥聞こえて‥





「それでね?」





ないみたいだ‥。





「あいつ、猫耳とかすっごく似合うの。メイド服も」

「───────」

「この前はイブにサンタドレス着せてみたりしたわ──」





目の前のキグルミが僕だとは‥まるっきり気付かないご様子の花禀様。

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