《MUMEI》

「えっと──どこまで話したかしら。ぁ──そうだ。ちょっと前なんだけど、あいつ勝手に出てったの。ま、私とお父様が連れ戻したんだけどね? あいつ、手紙だけ1枚置いて、私達には何も言わなかったのよ──」

「‥‥‥‥‥‥‥」





済みません‥。





「で‥見つけた時あいつどうなってたと思う? ──氷みたいに冷たくなってたのよ‥しかも昏睡しかかって。──ビックリよ──‥真冬なのに何考えたのかしら。‥とにかく‥あいつが見つかって良かった」





花禀様の表情は、いつになく穏やかだ。





「ふふっ──何でキグルミなんかにあいつの事話してるのかしらね──。?」





花禀様が、きょとんとする。





「くれるの‥? 風船」





ドキドキしながら、頷いた。





そうしたら、花禀様がニコッと笑った。





「ありがとっ」

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