《MUMEI》

──午後6時55分。





「ただいまーっ」





花禀様がお帰りになった。





「お帰りなさいませ──如何でしたか?」

「──はいっ、これ」

「?」





‥ぁ‥これは‥。





「キグルミ猫からもらったの。あんたにあげるわ」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「どうしたのよ固まって──」

「いえっ、あり‥‥‥がとうございます‥」





まさか‥自分がお渡しした物を自分が受け取る事になるとは‥。





「か‥神山さんもありがとうございました──」

「いえいえ。篠河君こそ、偵察お疲れ様でした」

「‥!!」

「──偵察? どういう事?」

「ぁ‥いえっそれは‥‥‥」

「‥ちゃんと説明しなさいよ」

「ぇ‥」

「──冗談ですよ」

「神山‥?」

「──では」

「あっ‥‥‥ちょっと神山!?」

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