《MUMEI》
Unsere Zeit.二人の時間。
  
「すまなかった…アキラ…」
「ど…どうしたんですか///」

食事が終わってリビングでゆったりしていると、突然克哉さんが僕の手を握りながらこう言ってきた。

「さっき…一人で泣いてたろ…」
「ぅっ…///」


確かに、さっき一人でお風呂に入ってた時泣いていたけど…。


克哉さんは仕事が忙しいみたいだから、僕は一人にされても我慢しなきゃ…。

それに、くるみちゃんも居るから頑張らないといけないし…。


でも……。

自分の生理現象だけはどうにもできなくて…。


バスタブの中でシャワーを浴びながら自分で処理した後、僕はこの知らない土地で独りぼっちのようなカンジがしてきて…。

孤独で、寂しくて、情けなくて…。

一人で泣いていた。




「見てたんですか///」
「途中からだが…キミの泣いている姿を見て、反省したんだ」


反省…って…。

僕といつも一緒に居れなかったって事?

克哉さんはそんな事、気にしないでいいのに…。

僕がこんなのだから、克哉さんに心配をかけてしまった…。

あぁ…どうして僕ってこんなんなんだろ…。




「だから、その埋め合わせとして今度連れて行きたい場所があるんだ」
「え…行きたい…場所?」
「ドコに行くのぉ?」

部屋で僕の作ったぬいぐるみで一人遊びしていた筈のくるみちゃんが、いつの間にか僕の目の前にトコトコと歩いてきて、僕の膝によじ登ってきていた。

「あぁ、アキラと私でデートに行くんだよ」
「えっ///」
「デぇート!?おりぇも行くぅι」

デートって…二人だけって事だから、その間くるみちゃんは一人になっちゃう。

「そうです、くるみちゃんは…」
「くるみはシッターにでも預けて行こう」
「おりぇもアキラしゃんとデェートしゅるのぉ〜ι」

克哉さんは『お前は毎日アキラとデートしてるだろう、今度は俺の番だ』と言って、バタバタと暴れるくるみちゃんを抱えると、子供部屋へ連れてって熟練の技で寝かしつけていた。

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