《MUMEI》

子供部屋を覗いてみると、くるみちゃんはあんなに騒がしかったのに…克哉さんの腕の中ですんなり眠りについていた。


「どうやって寝かしつけてるんですか?」
「コツがあるんだよ、こう…」

そう言うと子供部屋から出てきた克哉さんは、ソファーに座っていた僕の隣に座ると、その腕で僕を抱き寄せてきて、僕の背中をその大きな手でポンポンとリズミカルに叩いてきた。

「明日は休むよ」
「え…でも…」

克哉さんの手のひらのリズムは、すごく心地良くて…僕もさっきのくるみちゃんのようにウトウトしてきた。

「いいんだ、私もちょっと休みたい」

克哉さんの逞しい胸に寄りかかりながら、そのトントンという心臓の鼓動を聞く。

「いいんですか?」
「あぁ、ウチのスタッフは優秀だから大丈夫だ」
「そう…ですか…」

だんだん克哉さんの体温と、背中に響く手のリズムで安心して眠くなってきた。

「僕……」
「…今日は、寝ろアキラ…明日、たくさん話そう」
「うん……」

色々話したい事もあったけど、今日の所は克哉さんの言うことを聞いて、その胸に甘えるように寄りかかっていると、僕はいつの間にか眠りについていた。

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