《MUMEI》

  
(わ…うわぁ///…ほ…本物だ///)

お互いの身体に触れ合いながら会話をしている人達、目の前で抱き合ってキスしてる人達。

そんな様子を僕が驚きながら見ていると、その中の綺麗な人がニッコリ微笑んでくれたり、手を振ってくれたりしていた。

(ホントに、映画みたいだ///)

僕が周りにあてられてドキドキしていると、克哉さんは僕の肩に廻していた手をいつの間にか下に降ろしていて、腰の辺りを抱き寄せながら奥の方の部屋に連れて行ってくれた。




”部屋”といっても仕切があるだけで、完全な個室では無く、ちょっと他の人の様子も伺えるような所だった。

そこのゆったりと広いソファーに座ると、すぐに飲み物が運ばれて来たけど、克哉さんはそのウェイターの人に何か言うとその人はすぐに向こうに行ってしまった。

(何だろう……あっ///)


僕がお酒を全く飲めないからだ…。


海外で飲み物と言えばミネラルウォーターかお酒だった。

だからこっちでレストランに行った時も、僕はお酒が飲めないのでくるみちゃんと同じジュースを頼んで飲んでいたりしていた。

(やっぱり、こっちではお酒飲めないとダメなカンジなんだな…しかもビールの本場のドイツだし)


そんな事を考えていたら、ウェイターさんがカクテルのようなのを持ってきてくれていた。

「…ぁ…コレ」
「オレンジジュースだ、アルコールは入ってないぞ」
「は…はい///」

カクテルグラスに、薄暗いからあまり色は分からないけど多分オレンジジュースにはちょっとチェリーが添えてあった。




「プロストゥ(乾杯)」
「ふふっ///プロストゥ」

グラスの端同士を合わせながら静かに乾杯をすると、グラスに口をつけた。

「えへへ///甘いです」
「そうかい、私にもくれないか?」
「いいですよ」

そう言うと克哉さんは僕のグラス…ではなく僕の唇に口をつけた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫