《MUMEI》

  
「うっ///」
「きゃっ///」

ぶつかっちゃうくらいの距離になり「コレで二人の中がグッと近くなったね♪」と言うと、武は「意味が違げぇよ…」と言って僕を犬か猫のように襟を捕んではるちゃん達から離した。


引きずられながら、ふと、上の方や中庭の入り口付近に目が行くと、そこには全校生徒じゃないかって程のいっぱいの人達が窓からはるちゃんと梅子ちゃんを”わぁきゃあ”言いながら眺めているのにびっくりした。

この騒ぎを聞きつけた先生が中庭に駆けつけて来たけど、デカい武が先生を羽交い締めにして「無粋な事すんじゃねぇよ〜」と言って、なんとかガードしてくれていた。


「あ…あの…」

ようやくはるちゃんが口を開くと、梅子ちゃんもその顔を恥ずかしそうにウルウルとした瞳ではるちゃんの顔を見上げていた。


早く言っちゃえ、早く言っちゃえっ!


「…俺の…側に居てくれないか」
「えっ…」


はるちゃん…それは告白じゃなくてプロポーズだよ。


「そ…その…今度、一緒に遊びに行こう」
「…は…はい///」


何だか…小さな子供っぽい告白だったけど…。


梅子ちゃんが頷いてそれに答えると同時に、周りからは大きな歓声や悲鳴が上がった。


「おめでと〜う♪はるちゃん///」
「おぉ…アレで告白なのか」
「俺達はベッドの中でだったけどね///」

武が羽交い締めにしていた先生はすごくビックリしたような顔をしていたけど、俺らはにっこり笑いあった。


「おめでと♪ほらっ」
「あっ、あぁっ…ぇ…///」

誰からともなく梅子ちゃんのカバンが持ってこられると、梅子ちゃんの頭にはいつの間にか可愛いティアラが飾られていて、みんなで二人を大いに祝福していた。


「おめでと〜♪」
「お幸せにねぇ〜♪」
「はるかくーん!」

みんな口々に祝福の言葉を言いながら、まるで新婚さんのようにはるちゃんと梅子ちゃんを送り出してくれた。

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