《MUMEI》

「──何故雛と遊んでおったのだ?」




 歩きながら、桜が問い掛けた。




 だが、黒手毬は妖月の肩でぽてぽてと跳ねるばかりだ。




「妖月──何と言っておるか分かるか?」




「あの雛は友達らしいのだ」




「友達‥?」




「うむ」




「成程な──。だが勝手に行ってしまうと皆心配するぞ?」




 こくん、と、黒手毬が頷いた‥ように見えた。





 そして、祇園に差し掛かると。




「──二人ともありがとうなのだっ」




 ぺこり、と妖月が頭を下げた。




「とっても助かったのだっ」

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