《MUMEI》

「‥花禀様‥?」

「──────‥」

「花禀様は何も──」

「‥ねぇ」

「はい‥?」

「いいわよ、無理に開けなくても」

「──ぇ」

「あんたも座ったら?」

「あの‥」

「──たまにはいいんじゃない? こういう夜も」

「──あんたのドジも──役に立つ事あるのね」

「そう‥ですか‥?」

「た・ま・に・だけどね」





花禀様が、笑った。





「篠河」

「はいっ‥」

「神山があんたの事『ライバル』って言ってたけど‥あんた神山と何か勝負でもしてるの?」

「いえっ、特には‥」

「‥? じゃあ何で『ライバル』なんて言ったのかしら」

「あはは‥何ででしょうね──」

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