《MUMEI》
打ち解ける
「俺と何だって?」

「月代君と仲良くできたらって…迷惑だったかしら?」






聞き間違いではないようだ。






「いや、そんなことねぇよ」

「ホントに?よかったぁ!!嫌われてると思ってたから」

「何で柊を嫌うんだよ?理由がねぇじゃん」






柊のことは、苦手なだけで、嫌いというわけではない。そう、話しづらいだけで…。






「だって、最後に話してからかなり経ってるし、さっきも言ったように、避けられてる気がしてたから…」






そう言って柊は、少し寂しそうに俯いた。


なんか、悪いことしたな…。

話し掛けなかった理由は、ちゃんと伝えた方がよさそうだ。

本当の理由…なんか怖かったから…なんてことは絶対言えないけど。






「まぁ、ぶっちゃけ苦手ではあるけどな」

「苦手?どうして?」

「綺麗過ぎて人間とは思えないから」






これが、俺の精一杯の言い訳。





「それ、褒めてるの?それとも貶してるの?」

「もちろん、褒めてるの」

「えぇ〜、本当かしら?」






そう言うと、柊は綺麗に微笑んだ。
こうして見ると、本当に普通の女子と何ら変わりはない。


初めて見たときの冷たさは、微塵も感じられなかった。


俺が嫌いだと思った目も、キツイだけかもしれないな。






「あら、もうこんな時間?意外と時間かかったわね」






柊の声に反応し、時計を見ればもう8時近くを指していた。






「もう遅いしこの辺にしよう。帰り、家まで送ってく」

「え、でも悪いよ」

「いーから。誘拐されたりしたら大変だろ」

「誘拐なんてされないわよ」

「口答え無し!!」

「酷いなぁ。私の意見は無視なの?」

「女子なんだから、そういうとこ気を付けねぇと。ほら、送ってやるから」

「…じゃあ、お願いします」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫