《MUMEI》
女好きな親友
      =翌日=



「れ〜い〜やぁ〜!」

「ん?何だ?」






俺の名前を馬鹿でかい声で叫びながらやってきたのは、クラスメイトで中学からの友達である"剣持 椋"。

童顔で、いつもハイテンションな男である。






「なぁ、本当か?本当なのか!?」

「…剣持君。何か足りませんか?」

「え?う〜ん、特に。。っつーかさ、そうやって距離置いて話さないでくれよぉ!敬語はいや〜!!」

「剣持君がちゃんと主語を入れて話してくれたらね」

「…あぁ!なぁ〜んだ、そういう事かぁ!そういうことなら早く言ってよぉ」

「早く言えってお前、自覚しろよ。いつも主語がねぇから何のこと言ってんのかわかんねぇんだよ」

「はぁ〜い。以後気を付けま〜す」






片手を挙げてにこやかに返事をする椋。

マジで同級生とは思えねぇ。






「で、"本当か?"ってのは、何の事だよ?」

「えっとね、俺が聞きたかったのは昨日、美少女転校生・柊 海帆ちゃんと下校したって本当?ってことだよ!」

「あぁ、そのことか」

「!!…やっぱり本当なの!?何で俺を誘ってくれなかったの!?」

「誘うって…お前、帰っちまって家にいるじゃん」

「そんなの、メールか電話してくれればいいじゃん!」

「嫌だよ。面倒臭い」

「ひっでー!黎夜だけ抜け駆けなんて、ずるいんだよ〜」

「別に抜け駆けなんてしてねぇし。それじゃ」

「あっ!逃げんなよぉ!」






俺は、椋の声を無視して教室に入った。椋に付き合ってると、疲れる。


別に、嫌いなわけじゃない。
いつも高いテンションに着いていけないだけで…。


まぁ、椋の良いところも知ってるし、中学生の時からずっと一緒に行動してるから、俺にとって椋は、智と同じ親友同然だけど、椋本人には絶対言ってやらない。


調子に乗るから…。





それから、今の会話で分かったかもしれないが椋は女好きだ。


今のお気に入りは、言うまでもなく"柊 海帆"。


あいつは、何処で俺と柊が一緒に下校したなんて情報を手に入れたんだか…。






学校の情報網って怖いな…。

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