《MUMEI》
初めての手料理。
千晶さんが僕に部屋の鍵を渡してくれた。

出る時は鍵かけてけ…って言うんで貰ったんだけど…。

別に、監禁されてるワケでもないし…僕は数日ぶりに外出してみた。




「眩しっ…///」

久しぶりに見る直射日光に目を細めながら、いつもと変わらない街の風景を眺めながら歩いていると、ふと交番が目に入った。

(…どうしようかな)

どうしようかな…って、どうにもならないだろ。

(僕は未成年で、毎晩変態に陵辱されまくってます)

とでも言うつもりか…?




ひとつため息をつき、交番の前を通り過ぎると、駅の近くにあったスーパーに入って食材を探した。

千晶さんは自炊とかはなっからする気の無い、外食ばっかりの人だけど、僕は家で食べたい主義なんで色々と料理出来そうな食材を探した。

キャベツに大根や人参にジャガイモ…あと、普段は食べないチーズとかの食材を色々とカゴに放り込んでいった。

(どうせ千晶さんのカードだし…)

自炊しますと言ったら、千晶さんは鍵と一緒に「好きに使え」と言ってカードもテーブルに置いてくれていた。

(でも…使えるのかな…コレ?)

クレジットカードとか、触った事もましてや使った事も無かったんで、使えるかどうか不安だった。




「回数は?」
「えっ、え…回数?」
「一回でいいですね」
「は、はい///」

(回数って何?…あぁ)

レジに出た「お引き落とし回数」という表示を見て引き落とす回数の事だったんだと納得すると、返されたカードを受け取った。

(カード使えちゃった…僕、全然他人なんですけど…)

カードをバッグにしまうと、買い物袋を抱えて店を出た。


ちょっと買い過ぎちゃったかなと思ったけど、あの格好だけの大きな冷蔵庫になら余裕で入るだろうと思って、今度は別の所でコーラとかサイダーのボトルを買って、あの部屋に帰ってった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫