《MUMEI》

  
(出来るのかな…初めてだ…)

初めての自炊。

家庭科の授業では作った事もあったけど、ほとんど女子がやってくれたので僕は最後まで作った事が無かった。


(パスタぐらい…茹でられるだろぅ…)

買ってきたパスタを適当にお湯の中に放り込むと、ソーセージとかタマネギとかケチャップを適当にフライパンで炒めてみた。

(多分…パスタってこんなのだよ…ね…)

タマネギを刻むのに苦戦して、火加減がよく分からなくてケチャップも変なカンジになるし…。

そしてやっと出来上がったパスタは、小学生の頃に給食で食べた”ソフトめん”のようだった。



「……」
「よぉ、何か変な匂いがするぞ…」

ちょうど千晶さんが帰ってくると、僕の食べているパスタを見てニヤニヤ笑っていた。

「どうだった、自炊は」
「……」


どうせ…初めてだし、上手くってないのは分かってるくせに…。


分かってて意地悪な事を言う、千晶さんのそういう所が大嫌いだ。


「そんな事だろうと思ってよ」

そう言うと千晶さんは僕の目の前にサンドイッチを置いてきた。

「食えよ、そんなんじゃ腹減ってるだろ」
「…ぅん」

入っていた袋を開けて食べてみると、中身は僕の好きなツナサンドだった。

「旨いか?」
「……ぅん///」

…そうやって…大人の余裕みたいな所を見せつけてくる、千晶さんのそういう所が一番大嫌いなんだ!

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