《MUMEI》

「‥何‥?」

「──ぅわッ」

「‥失礼じゃない‥?」

「済みませんっ‥」





まさかこんな至近距離で貴女に見つめられるなんて思わなくてッ‥。





というか‥観察してます‥?





「──睫毛長い──」

「っ‥!?」

「うん、私より長い」

「あのッ‥?」

「いいじゃない、女みたいだって──」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「お父様は間違えなかったでしょ?」

「──ぇ」

「あんたに、『メイドやってみないか』なんて訊かなかったでしょ?」

「はい‥」





──そうだった。





ご主人様はハッキリと‥執事と仰った。





花禀様からも、女かなんて訊かれたりしなかった。

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