《MUMEI》

こんな気持ちをもったのは、いつだろう。

きっかけはたくさんあるだろうけど、しいてあげるなら、出会ったその時だ。

高1の春。
軽音部への入部届けを片手に、飛び込んだ教室の中。
「「1年?俺も。」」

自分よりも少し高い背。優しく笑う優也から、目が離せなかった。



ただの憧れなのかもしれなかった。

ギターだけで、次々と新曲を生みだす、天才に。

拙い音程しかだせない、自分とは、かけ離れた存在に。



けれど。

優也の歌を歌って。

優也と一緒にバンドをやって。



憧憬は、確実に形を変えていった。
1年。優也の隣ですごして、とても幸せだった。



そうだよ。
俺は、優也が好きなんだ。

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