《MUMEI》

‥やめる訳にはいかない。





‥キャンドルは溶け切ってしまった。





‥また気温が下がってきている。




‥だから‥。





「──ちょっとッ、人の話聞きなさいよっ」





花禀様の‥怒り気味な声が聞こえる。





‥何回も、何回も。





なのに、僕は返事もしないで‥ワインセラーを扉にぶつけ続けていた。





そうする内に、扉が‥少しへこんできた。





このまま上手くいけば、扉を壊してここから出られる。





‥大丈夫。





きっと‥‥‥何とかなる。





‥ううん。





──してみせる。

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