《MUMEI》

「なら、何も不安がる事はないだろう?」




「うむ‥」




「──どうしたの?」




「凄く久し振りなものだから‥上手く体が動かなくて‥、?」




 黒手毬だ。




「付いて来ていたのか?」




 こくん。




「そういえばお前も黒かったのだな」




 ぽてっ。





「お前も遊ぶか?」




 ぽてっ、ぽてっ。




「よしっ、ではいくぞ?」




 黒手毬を、鼻先で放り上げる。




 落ちてきたそれを桜が受け止め、紫苑に投げる。




 紫苑は取り落としそうになりながらも、何とか両手で受け止めた。

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