《MUMEI》 その日から、変化が起きた。 今まで、真逆の性格を振る舞わねばならなかった二人だが──それをする必要がなくなった。 菊宮を始め、桜達が入れ替わっていた事をしった内裏の物達が、二人を自由にさせてくれるようにと帝に請うたのだ。 それによって、桜も紫苑も、ありのままでいられるようになった。 「──楽しかったな、あのひと月」 「うん。大変だったけどね──」 「またやりたいか」 「ううん──もう十分」 「──そうだ‥陰陽寮に書を返さねば」 「僕も一緒に行っていい?」 「──ぁぁ」 すると。 「遊びに来たのだっ」 ひょっこりと現われた黒い子狐に、二人はにこりと笑いかけた。 前へ |次へ |
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