《MUMEI》
ナミダ
「ね、羽音」

「ん?」

「ひとつ、いい?」

「うん」

「ボクね、ほんとは友達が欲しかったから──それで悪戯しちゃったの」

「ラロは、友達‥いなかったの‥?」

「お城からは出られなかったし──家来とか傭兵じゃ遊び相手にならないんだもん」

ラロは

そう言って

ほっぺたを膨らませた。

可愛いなぁ‥。

「でね、ボク、ずうっとお城にいたの。ずっと、ずっと‥。キラキラした部屋の中で家来達に囲まれて──もう息出来ないってくらい窮屈だったんだ」

「大変だったんだね‥」

「うん」

そう言って

ラロは

俯いた。

‥あれ‥?

「ラロ‥泣いてる‥?」

「もうやなんだ‥。あんな生活‥」

潤んだ瞳から零れる

大粒のナミダ。

「‥‥‥‥‥‥」

私は

妖精の小さな体を

そっと

両手に包み込んだ。

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