《MUMEI》
実戦訓練
「さてと・・戦闘訓練するんだよね?」
倒れているジュレイドは無視して彩詩に質問するエミ。
「うん。じゃ行こうか。」
彩詩はそう言うと修練場の中へと進んでいく。それに続くメンバー。
「・・・」
ズルズルズル・・ゴン、ゴン・・・
無言でジュレイドを引き摺っていくレイ。階段の角に頭が鈍い音と共に当たっているが気にもせず、ズルズルと・・
「・・・・・・・あれ、良いのかな?」
レイに足を持って引き摺られているジュレイドを見ながら琴に尋ねてみる狩月。
「気にするな、気にしたらきっと負けだ。」
冷や汗を流しながら、引きつった笑いを浮かべる琴。
クリエイトフィールドの中へと入る。初めて入った狩月は珍しそうに周囲をキョロキョロと見ている。
周囲には適度に配置された岩や木など、多少の障害物はあるが基本的に平地で見通しは良い。
「よし、チームを決めようか。」
全員が揃ったことを確認すると、彩詩が声をかける。ジュレイドは意識を取り戻し、一応立っている。
「まずは・・私とハンド、ごま、バンプ、それからエミ。この五人を分けて・・」
うむむ・・としばらく悩む。何をしようとしているのか解らないのでとりあえず黙っているメンバー。
「ごま、こっちにずれて。」
ごまを少し離れた所へと誘導する。
「ハンド、バンプ、エミはこっちね。」
ごまとは反対方向に並ばせる彩詩。
「それじゃ、今から名前を呼ぶ人はごまの所に集まって。狩月、想花、レイ、ボンカー。」
ぞろぞろと移動する狩月たち。
「で、残りの式夜、琴、ジュレイドはハンドたちの所に集まって。」
移動したのを確認すると、さらに言葉を続ける彩詩。
「と言うわけで、集団戦闘訓練を始めよう。10分後から戦闘開始。それじゃあチームごとに分かれて、作戦タイムね〜」
そう言うとごま達の方へと行く彩詩。
「ちょっと待った!!何を使っても良いの?」
エミが質問とばかりに声をあげる。
「うん。あ・・でも一瞬で終わるような上位スキルは禁止ね。」
「了解〜」
両チームともある程度、離れて作戦会議を始める。
「・・・そういえば紹介してなかったよね。右から順番に狩月、想花、ボンカー、ごま。こっちの無表情な子はレイって言って大体式夜と同じくらいの強さだよ。」
とりあえずと言った感じで最低限の紹介をする彩詩。
挨拶が終わると作戦を話し始める彩詩。要約すると・・
バンプ→ごま
ハンド、式夜→彩詩
エミ→レイ、想花
ジュレイド→狩月
琴→ボンカー
である。もちろん臨機応変に対応すると言ってはいるが・・素晴らしく適当な作戦。もっとも突っ込み役が居ないので誰も何も言わない。
「よしOK。絶対勝つぞ〜!」
「「「お〜!」」」
「・・・・・」
(大丈夫なのかな・・)
一人ため息をつく狩月。

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