《MUMEI》 「なんらかの形で、安西は償わなきゃいけないのかもしれない。でもそれは、死では表せない。安西が生きて探さなきゃ……そうすれば俺は安西を初めて許せるんだ。」 「……安西に戻ってる。」 口許をつい、押さえてしまう。 「先輩にとっての俺は安西なんですね。」 小さく溜息をつかれた。 「知らない感覚が沢山あった。安西と対峙して知ったんだ。」 気付いた、に近い。 「そうやって、いい俺だけで満たしてて下さい。俺は後輩で、平凡な高校生……で、いさせて下さい。」 安西の指先が、鎖に一瞬触れた。 何と無く、死ぬよりももっと辛そうに見えた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |