《MUMEI》

「じろー!」

七生が駆け寄ってきた。
身を按じてか、駅前まで迎えに来てくれてる。


「……帰る。」

上手く表現出来ない、気が抜けてか、涙が出てきそうになる。
七生の前ではあまり泣かないようにしたい、一度甘えるとずっと制御出来そうもないからだ。
自分で自覚するくらい涙脆い。


「星だ。」

七生が何も無い上空を指し示した。


「見えない……」


「雲で隠れたんだ。」

七生の指が一点で弧を描いた。

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