《MUMEI》

気まずい雰囲気が続く中‥バレンタインはどんどん迫って来る。





森下さんと買い出しに出かけたはいいけど‥。





花禀様が‥僕にチョコレートを下さるかどうか。





ずっと‥そればかりが気になっている。





「篠河君」

「はい‥?」

「ありがとう」

「ぇ‥?」

「篠河君のお陰で──チョコレートまともに作れるようになったんだもの」

「───────」

「?」

「──ぃぇ──」





ええと‥今日買う物は‥。





【チョコチップ】

【ドライフルーツ】

【ベーキングパウダー】





──お菓子の材料ばかりだ。





今日は少し少なめでいいかな‥。





花禀様‥あまり召し上がられないみたいだし‥。

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