《MUMEI》

‥リビングからも追い出された。





「はぁ‥‥‥」





花瓶の水替えをしなければならなかったのにな‥。





「お嬢様、かなり真剣になってらっしゃるわね──」

「神山さんの事もありますしね‥」

「それだけじゃないかも」

「‥?」

「ふふっ──女の勘、ってやつ?」

「勘‥ですか‥」

「ほらっ、そんな顔してたらお嬢様が心配なさるわ」

「──ハイ‥」





クヨクヨしていても仕方ないよな‥。





「さてっ──仕事仕事──」





考えてどうなる訳じゃない。





『他にやる事あるでしょ』





‥考えなければいい。





意識しなければいいんだ。

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