《MUMEI》 ──バレンタインは‥明日。 花禀様は──今日もキッチンに籠ってらっしゃる。 「あの──‥、!!」 「‥誰が入っていいって言った‥?」 「済みませんっ‥」 「‥‥‥何しに来たの‥?」 「ぁ‥‥‥ただ‥‥‥ずっと籠ってらっしゃるので‥‥‥お疲れかと‥」 「全然」 僕の方はチラリとも見ずに、花禀様はチョコレートを溶かしてらっしゃる。 「──もう出てってくれない? 集中出来ないんだけど」 「‥ハイ‥では‥‥‥失礼致します」 結局‥また言えなかった。 前へ |次へ |
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