《MUMEI》

‥どうしよう。





「ごめんなさい」

「いえ、森下さんは何も‥」

「‥‥‥‥‥‥‥」

「森下さん」

「──ぇ」

「僕‥頑張ってみます」

「───────」

「大丈夫ですか‥?」

「ぇぇ‥」

「済みません、僕がちゃんとしなかったから‥」

「──どうしたの?」

「ぁ‥‥‥奥様」

「花禀はお部屋?」

「はい‥中にいらっしゃいます」





答えたら、奥様はニコッとされた。





その笑顔を見たら‥何だか申し訳ない気持ちがした。





「‥失礼‥します」





逃げるように‥扉の側から離れた。

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