《MUMEI》

そう、学校の情報網は
怖いのである。






「黎夜〜!」

「おう、おは「なぁ、柊と下校 したって本当か!?」」

「………」





どいつもこいつも、それしかねぇのかよ。






「黎夜!昨日、柊と帰ったんだって?」

「柊さんのこと、家まで送ったって本当か!?」

「昨日「あ〜、うるせぇよ!昨日は、たまたま委員の仕事で帰りが遅くなったから送っただけだよ!!」」






どこまで広まってんだよ。皆で同じ質問しやがって…。






「おっす!どうしたぁ?朝から浮かない顔して」

「別に。何でもない」

「そういえば、昨日柊と「智までその質問かよ…」」

「あ〜、な〜るほど!お前、質問攻めにあってんだろ?」

「正解」

「大変だな。でもさ、俺が聞きたかったのは、苦手だった柊と何で一緒に下校したんだ?ってことなんだよ」






"でもさ"って、なんか別の話みたいに言うけど、結局柊との下校の話じゃん!!というのは、取り敢えず思うだけにしとく。






「8時近いのに、女一人じゃ危ないだろ?誘拐とかされたら困るじゃん」

「いや〜ん、黎夜君ったら紳士的〜!かっこい〜vv」

「うっせー。当然だろーが」

「当然ねぇ……柊に惚れちゃっただけじゃねぇの?」

「馬鹿。んな訳あるか!」

「さて、どうだかね?…おっ、噂をすれば本人だぜ」





廊下の向こうから、柊が俺達の元へ走ってきていた。






「月代君!ごめんなさいね」

「何だよ急に。どうした?」

「だって、昨日月代君が私を家まで送ってくれたから、変な噂が…」

「変な噂?」

「あら、聞いてないの?月代君と私が付き合ってるって噂」

「ほっとけ。別に気にしねぇ」

「でも…」

「どーせ、智が誰かにある事ない事吹き込んだんだろ?」

「心外だなぁ!俺は、黎夜が柊と下校したのは何故かって話してた連中に、もしかしたら付き合ってんのかもなぁって冗談で言っただけだし」

「…やっぱお前が原因じゃん。種まいたんだから、お前がなんとかしろよ」

「了解、了解」






そう言うと智は、自分の発言を訂正すべく、皆の所へ走っていった。

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