《MUMEI》

「篠河君‥来ないのかしら‥」

「今森下君が説得をしてくれているはずだけど‥‥‥」

「──────‥」

「では、誓いの──」





‥好きだ。





‥僕は‥‥‥花禀様が好きだ。





「──花禀様!!」





バーンッと扉を開けた途端‥





「‥‥‥‥‥‥‥」





教会中が‥シーンと静まり返った。





「篠河君っ──」

「‥あれ‥お嬢様の執事じゃないか‥?」

「あらほんと──」





今度は‥ざわめき出す。





「──静粛に」





牧師様のひと声で、皆様の声が止まった。

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