《MUMEI》

その後‥また教会に戻って披露宴が行われた。





「──おめでとう、篠河君」

「あり‥がとうございます‥」

「初めからこうなると思ってましたよ──」

「ぇ‥?」

「お嬢様の事──宜しくお願いします。もし万が一お嬢様を不幸にさせるような事があったら──奪いに行くかも知れませんよ?」

「ハイッ‥肝に命じておきます‥‥‥でも‥」

「?」

「何故‥‥‥お譲り‥」

「譲ったつもりはありません。ただ私は負けたんです──君に」

「負けた‥?」

「楽しかったですよ──なかなか。ただ、あまり遠慮が過ぎると損しますから気を付けて下さいね」

「──それは‥」

「お分かりになりませんか?」

「──ぃぇ、何となく‥」

「──では」

「ぁ‥神山さんっ」

「何か?」

「──ありがとうございましたっ」

「お礼なら、私ではなくお嬢様に」





ニコッと僕に笑いかけて、神山さんは人込みの中に消えた。





「───────」





かっこいい‥。

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