《MUMEI》

「俺と歩きたくないの?」

七生に遠慮して距離を置いていた。


「あ、それは」


「俺はコワイ?二郎は俺がスキ?知りたいな。」

七生の目を見ると嘘を付けなくなる。


「す……………………」

声が詰まる。


「二郎?」

見ないで……


「分かんない、俺を困らせないで。」


「は?怒ってるのか?」


「怒ってない!」


「怒鳴った。」

それは七生が叫ばせたんだろう。


「そうやって、追い詰めるからだよ……!」


「俺が、いつ?」


「今。」


「今あ!?」


「それ、それだよ。」


「追い詰めさせるのは、二郎だろう!」

七生が胸倉を掴んで来る。


「襟が伸びる。」


「頭きた。」

七生の目から危険を察知し、力が緩んだのを見計らい自転車で逃げる。

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