《MUMEI》

皆様がお帰りになられた後──。





僕と花禀様はまだ、教会に残っていた。





「──ねぇ?」

「はい‥」

「おあいこね」

「ぇ‥」

「ずっと──気付いてない振りしてた。あんたの気持ち」

「気付いて‥らしたんですか‥?」

「‥まぁ、ね。ていうか分かるわよ見てれば‥。あんた‥嘘つくの下手だし」

「───────」





確かに‥嘘をつくのは苦手だ‥。





「あんた、意外と度胸あるじゃない」

「度胸‥?」

「まさかあのタイミングで乗り込んで来るなんて思わなかったわ──これっぽっちも」

「ですよね──」





自分でも‥ビックリした位だ。

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