《MUMEI》

「──え‥え‥と‥‥‥28枚分あれば足りるかな」





花禀様には内緒で、僕はホワイトデーに向けて準備をしていた。





「──何作ってるの?」

「‥!?」





‥泡立て器を落としそうになった。





「ケーキ?」

「ぃぇ‥‥‥」

「え〜? じゃあ何よ──ていうかお菓子ならもうティータイムに‥」

「し‥‥‥試作です」

「試作? 何の?」

「それは‥‥‥」

「秘密、って訳ね」

「済みません‥」

「別に?」

「──あの‥」

「何?」

「いえっ‥‥‥何でもないです‥」

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