《MUMEI》
ショットガン
「いや。あの場所も、見つかっちまってな。残ったのは、俺とこいつだけだ」
由井は自分とミサを指差した。
「見つかった?警備隊に?」
「ああ」
ユキナの問いに、由井は頷く。

「まさか、それも俺のせいだって言うんじゃねえだろうな」
「いや。多分、逃げてきた誰かが後をつけられたんだろう。でもな、そうなったのは、おまえらが原因だ。そうだろ?ミサ」
「そう。全部、こいつらが悪いの」
ミサは頷いた。

なにか変だ。

ユウゴは思った。

 さっきから由井はミサに確認するように同意を求めている。
まるで、ミサの意見が全て正しいかのように。

 あの組織では由井がリーダーだったはず。
それなのに、今はミサの方が立場が上のように思える。

「由井、おまえ、本気でそう思ってんのか?」
「当たり前だ」
「俺が、おまえを裏切ったと?」
「うざいんだよ!」
由井は突然そう怒鳴ると、ミサが持つボストンバッグから、大きな銃を取り出した。
外見からそれがショットガンだとわかる。
「そんなもん、一体どこから」
「武器のストックなら山ほどある。本当は、国の奴らを相手にするためのものだったけど、もういい」
由井はゆっくりショットガンを持ち上げた。

「俺の相手は、おまえらだ」

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