《MUMEI》

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たとえば








もし わたしが



ここから きえて



にどと あえなくなったとしたら







きみ は



ないて くれるのかな −−−−−













◆◆◆◆◆◆













とにかく、夏の暑い日だった。





わたしは、いつものように愛犬のヒューを連れて、近所の公園に出かけた。


少し歩いただけでも、大量の汗が流れでる。惜し気もなく照らす太陽の熱が、わたしの体力をどんどん奪っていく。


ヒューは暑さに弱いゴールデンレトリバーで、しかも7才。

人間にたとえれば、もうお年寄りだ。


彼はわたしと同じように、怠そうに呼吸しながら、トボトボとわたしの隣を歩いていた。


やっとのことで、公園にたどり着いたときには、わたしは疲れ果てていて、半ば倒れ込むように木陰のベンチに腰掛けた。
ヒューは、わたしの足元に座り込み、長い舌を口から出し、荒い息をして体温を調整していた。


公園にはいくつか遊具が設置されていて、中央には広場があった。


夏休みだというのに、この炎天下の中、遊んでいる子供は、ひとりもいなかった。


ひっそりとした公園は、まるで世界から切り離された異空間のような静けさに包まれていた。


わたしは、しばらくそこでぼんやりしていた。


公園の周りに植えられている樹木から、蝉の声が喧しく鳴り響いてくる。





…………いつになったら、



わたしは、



自分に残された、この空虚な時間の中から、



抜け出せるんだろう………。





そんなどうでもいいことを、ずっと考えていた。



少しして、ヒューは手持ち無沙汰になったのか、突然立ち上がると、地面に鼻を近づけながら、ウロウロと歩き回った。





その姿をぼんやりと目で追いながら、



わたしの視界の端っこに、



うつったひとが、いた。





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