《MUMEI》 きっかけ智が変な噂を流したせいで柊に迷惑かかってるし… 「…ごめんな」 「何故 月代君が謝るの?」 「何故って…俺の親友が変な噂流しちまったから。柊も嫌だったろ?」 「え?別に嫌じゃないわよ?むしろ、光栄だわ」 「光栄!?何で!?」 「あら、自覚ないの?月代君、カッコよくて優しくて、秀才で運動もできるからモテモテなのよ?」 俺の疑問に対し、柊はそんなことをさらっと言った。 お世辞にも程があるだろ… 「…嘘だぁ。冗談キツすぎ」 「本当よ。皆言ってるわ」 「俺のどこがいいんだか…」 「私には、分かるけどなぁ。」 「俺には、分からん」 「あなたが鈍感なだけよ」 「そんなことない…と思う」 鈍感であるという自覚は、勿論ない。でも、他人の目にどう映っているのかは、確認のしようがないからなぁ。 そんなことを考えていると、柊が何かを思い付いたかのように俺を見た。 「あ、ところでさ、月代君って兄弟いるの?」 「え?あぁ、妹と弟がいるよ」 「へぇ〜、下がいたんだぁ。見てみたいな。私ね、子供が好きなのよ」 「写メならあるけど」 「見せてくれる?」 「あぁ…」 「可愛い〜〜!! ありがと♪」 「いや、別に」 「それから、高岡君と剣持君って中学も一緒だったの?」 「あぁ、うん。そうだよ」 「そう。じゃあ、あの時一緒に居たのは、やっぱりその二人だったのね」 「あの時……?」 「ううん、何でもない。あ、もう授業が始まっちゃうわ。行きましょ」 「……おぅ」 あの…時? それって、いつのことだ? それに、今意図的に話を切ったよな?たしか、前にもこんな事があった気がする。 …あ、智と俺が前に柊に会ったことがあるかもって話の時だ。 あの時も、柊は話を勝手に切り上げたんだ。 柊にとって、あまり言いたくない話なんだろうか?でも、それなら何で自分から話題をふる? 俺は、柊の後ろ姿を見ながらそう思った。 そして、今の俺が感じるのは、何で答えてしまったんだという後悔。あの質問に答えてしまったことで、柊は'あの時'の人物を確信した。 それと同時に、カウントダウンも始まった。 死へのカウントダウンが… 前へ |次へ |
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