《MUMEI》

そして──花禀様とやって来たのは‥





「古着屋さん‥?」





の‥ようです。





「ここで──‥宜しいんですか?」

「そうよ?」





当たり前のようにお店の中へと入って行かれる花禀様。





「ほら、ボケッとしてないで早く来なさい葵」

「───────」





お母さんみたいだ‥。





「葵ってば」

「ハイ‥!」





名前で呼ばれるのにも、そろそろ慣れてきた。





だけど──‥僕はまだ、花禀様を『花禀』‥とは呼べない。





僕にとって花禀様は、主人に当たる方。





女王様的な存在。





とても‥呼び捨てになんか出来ない。

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