《MUMEI》 《毎日》の風景. 予備校の教室に入ると、すでにたくさんのひとたちがそれぞれの席に座っていた。 俺も空いている席を探して、適当に腰を下ろす。 それと同時に、だれかに呼ばれた。 「中原、遅〜い!!」 ゆっくり振り返ると、そこに同じ高校のクラスメートである、永瀬 のぞみが立っていた。 のぞみは天使のようにほほ笑む。 「あんまり遅いから、今日はサボるかと思った〜」 ………なんて、ドキッとするようなことを言ってくる。 俺は口元に笑みを浮かべて、まさか、と彼女の言葉を一蹴してみせた。 「親に金出して貰ってんのに、そんなことしまセン」 思ってもないことを口にすると、のぞみは感心したような顔をした。 「中原でも、まともなこと言うんだね」 …………なんだ、そりゃ。 俺がのぞみになにか言い返そうとしたとき、急に背後からタックルされた。ビックリして振り返ると、またしても同じ高校の立川 登が俺の首に腕を巻き付けていた。 「オハヨー、将太!!のぞみとなに話してたの!?」 ウザいくらいのテンションで、至近距離から話し掛けられる。俺は登の腕をほどきながら、ナイショ、と素っ気なく答えた。 「どーでもいいけど、お前、もっとフツーに挨拶出来ねーのかよ」 文句を言った俺に、登はウインクしながら「俺なりの愛情表現!!」とわけの分からない答えを返してきた。その様子を見て、のぞみはケラケラと笑う。 ……………毎日が、こんなかんじ。 俺の周りには、いつもひとが溢れていて、 それを、別に望んでるわけじゃないけど、 それなりに楽しく過ごしている。 でも。 このままこーやって、 みんなでバカやって、 呑気に笑い合って、 ホントに、それでいいのかな?? …………ってギモンに思うときもある。 . 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |