《MUMEI》 . 「そういや、この前の模試どーだった??」 思い出したように登が言った。のぞみは胸を張り、得意げに答える。 「志望大学、合格圏!!」 ピースサインに、かわいらしい笑顔を添える。 一方、登はがっかりしたように肩を落として、「俺、D判定だった……」と死にそうな声で言った。 「今回、ヤマ外れてさ〜。マジ最低だったよ」 落ち込む登に、のぞみは「ヤマなんか張るからだよ!」と小言を言う。それを聞いた登は、落ち込んだのか、さらに肩を落とした。 のぞみは笑顔で振り返り、「中原はどーだった??」と明るく尋ねてくる。 俺は、ん〜??と気のない相槌を返した。 「よく、わかんねぇ」 みんなが受けると言ったから、一応、模試は受けた。 けれど、志望大学が決まっていなかった俺は、そこそこ有名な大学名を、シートにテキトーに記入した。 結果、どれもB判定とかC判定だった。 それも、どうでもよかった。 あんなテストの判定だけで、 自分の立ち位置が分かるだなんて、 イマイチ、信じられなくて。 俺は、のぞみの顔を見る。 「まだ、志望校決まってねーし」 あっけらかんと答えると、のぞみは眉をひそめた。 「マジ??そろそろ決めないと、ヤバイんじゃないの??」 のぞみの台詞に登もウンウンと、「呑気だなぁ〜」とわざとらしく頷く。 「そんなんじゃ、あっという間にみんなに出し抜かれるぞ」 図星の俺は、黙って登の頭を小突いた。 . 前へ |次へ |
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