《MUMEI》
守るべき者
「じゃあ、俺は行くから。後でね」

「…柊」

「何?」

「いざというときは、俺より希先輩を守れよ」


希先輩まで巻き込まれる心配は無いだろうが、相手はあの弘也だ。


「今日は希先輩と一緒にいろよ」

「じゃあ、希と一緒に祐也を見守る事にする」

「離れて、だぞ」

「…わかってる。じゃあ」


苦笑しながら、柊は部屋を出た。


それから俺は、入れ違いに入ってきた志貴と朝食を食べた。


「今日は、ずっと一緒にいるからね!」

「いいけど、いざというときは、離れてくれよ。危ないから」


志貴には、何よりも


自分自身を守って欲しかった。


「頼りないけど、拓磨と一緒に祐也を見守ってる。

ほら、拓磨。見た目だけなら強そうだし?」

「そうだな」


確かに拓磨は見た目だけなら体格はいいし、喧嘩も強そうに見えた。


「喋るといろいろ残念だけど」

「…そうだな」


(悪いな、拓磨)


俺は拓磨をネタに、志貴と笑い合い


少し、緊張をほぐす事ができた。


「祐也も、ちゃんと自分を大切にしてね」

「ん」


俺は、自分の身は自分で守るつもりだった。

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